私の町の特産品の一つに八目うなぎがあります。八目うなぎとは名前のとおりうなぎのような姿かたちをしていて、秋から春にかけて近所の川に遡上してきます。名前はうなぎで、姿もうなぎにそっくりですが、本当はうなぎの仲間ではありません。子どものころ私はこの八目うなぎが本物のうなぎだと言われて育ってきたので、今でもうなぎと聞くと、こちらの姿のほうが頭に浮かんできます。町では年に一度八目うなぎのお祭りがあり、子どもたちが大きなたらいに入った八目うなぎをつかみどりするイベントがあります。
うなぎにさわるなんて信じられないという子もいれば、わが息子のようにこの日を何カ月も前から待ち焦がれている子もいます。ヨーイドンでたらいに向かって走り、つかんだ数だけの八目うなぎを持って帰れるのです。うなぎではないといっても姿はうなぎそのものですから、ぬるぬるつるつる、つかみ取ることは容易ではありません。ただ、子どもたちも毎年やっていますので慣れた子は5匹、6匹と自分のバケツの中に入れていきます。子どもの歓声や時には鳴き声も聞こえたりして賑やかなイベントです。
つかみどりした八目うなぎを自宅に持ち帰り、毎年そこからが私の戦いです。好みもありますが、実はこの八目うなぎ、お世辞にもあまりおいしいとは言えません。川魚のどくどくな臭みと過剰な油、肉質は固く素人の料理技術ではなかなかおいしくいただくことはできません。ただ、毎年1回のお祭りで、子どもが一生懸命つかんだものですから、形だけでもさばいて料理をします。毎年同じかば焼きですが、それ以外の味を研究する気持ちには全くなれない八目うなぎです。